10年やって分かったこと

深まる秋


 9月30日に、ハマイバは閉店した。もちろんこんな商売は初めてで手探りでの10年だった。その間には「お前は商売には向いてない」と何人もの方から言われたことを思い出す。でもその都度、最終的には自分が信じる道を進んできた。他人はとかく勝手な事を言い、僕を惑わす。だって後の責任は関係ないですから。もし言われたとおりにして途中で嫌になったらどうだったのか考えると、恐ろしささえ感ずる。そして、僕に商売は向いてないって言った方々の言動を振り返ってみた。最初は何人もで来て、話をしてる隙に、他の人がハマイバのお花を勝手に抜いて。「どうしてほしいんならちゃんと言わないですか」って問い詰めたら「川の方から抜いてきた」とうそをつく。そしたら他の人が「だったら売ればいいし、そんなことぐらいで」と言う方、そして最後に「向いていない」と。一泊6千円なのに、この山の中に来て「刺身の盛り合わせも出せ」と言う。「山の中の民宿で6千円ではなかなか」と言えば「商売に向いていない」と。その山の中という点ではどうしても山菜が出る事が多い。そしたら「山菜なんて見たくもない」と。6千円をもっと安くしたらと提案した人に「これ以上は出来ませんよ」と言えば、これまた。酔って言いたい放題を言うお客さんは大抵「酔っぱらいの気持ちを理解しなくちゃ商売には向いていない」と説教を垂れる。人に説教を言う前に自分を見直してもらいたい人ほど。僕の元職場の仲間で「泊まってやるから半額にしろ」と。僕はこのハマイバで一匹300円で岩魚を販売して10年やって来た。その魚を僕に売ってくれてる養魚場のおじさんは、はっきり言って思想信条は違うが頑張って頑張って安く魚を売ってくれていた。この10年本当にお世話になった。でもこのおじさんのところに行って「もっと安くしろ」と値切ったおじさんがいたらしい。そしたらその魚屋さんは「お前に売る魚はない、もう二度と取引はしない」と言われたそうな。そしたら「あのおじさんは変わり者だ」と僕に告げ口。でもね、頑張ってる人にさらに鞭を打つようなことを言う人の方が常識外れと思いますよ。お客さんもいない今朝は薪を作りながら、先日のお客さんの振る舞いに腹を立てながら、「人に商売に向いていないって言う人ほど常識外れだし、だいたい苦労して頑張ってる人は人の頑張りも分かる人」だから、本物の人は他人にあまり強要しないって事。人に言う前に自分を見つめなおさなくちゃね。今日の一枚は秋を感ずるススキです。